経営とサイエンスは、新美容出版の雑誌の中でもケミカル情報に強い編集部。時々、他部署からも「髪・頭皮のナゼ?」に関する質問が寄せられることがあります。今回は社内であったこんなやりとりをご紹介。
こんなに科学は進んでいるのに、どうして白髪はなくせないの?
難しい質問ですね・・・では、先日、岡山理科大学でバイオ・応用化学を研究されている安藤秀哉先生に伺った“白髪が生えるメカニズム”のお話を紹介します。
安藤秀哉先生(岡山理科大学工学部バイオ・応用化学科 教授/博士(医学))
イラストで理解! 白髪の生えるメカニズム
まずは、この毛根のイメージ図をご覧ください。
バルジ領域の下に「サブバルジ領域」と呼ばれるところがあります。ここには「色素幹細胞」と呼ばれ、メラノサイト(=色素細胞)というメラニン色素をつくる工場の元となる細胞がいるんです。
正常な流れ(黒髪)では色素幹細胞のうちは、まだメラニン色素はつくれません。それが毛球内に移動してメラノサイトに変身することでメラニン色素がつくられ毛髪を黒褐色にしていけるんです。
ということは、イラストで描くとこんな感じかな?
お!分かりやすいですね!
白髪の原因1:ゲノムストレス
これに対して白髪は色素幹細胞がサブバルジ領域で大人のメラノサイトに異常成長してしまい、色素幹細胞がいなくなってしまうのです。では、なぜそんなことが起こるのでしょう?実は、そこには「ゲノムストレス」が関係しているんです。
ゲノムストレスとはDNA(遺伝子)に傷をつける様々な因子のこと。具体的には老化が主な原因ですが日常での紫外線や精神的ストレスなども関わっていると考えられますし、ゲノムストレスの中には体内で発生する「過酸化水素」などの活性酸素も含まれます。