※3回連続で、3組の若手オーナーが新規出店を成功させるまでのストーリーを紹介していきます。新規開業を考えるプレオーナーの皆さんに役立つアドバイスもお聞きしました!
自分たちと同じ子育て世代をターゲットに立地を選定
最終回である第3回目でお話をお聞きした瀧本恭平さん、瀧本あいかさんご夫婦は、2019年4月に神奈川県茅ケ崎市に『Solmu』をオープンしました。北欧テイストの空間が温かい雰囲気で、キッズスペース完備の便利さとヘアカラーリストが在籍するという専門性により、おしゃれなママ世代から人気を集めています。
サロン名の『solmu』(ソルム)は、フィンランド語で「結び目」という意味。これには、お客様と素敵な結び目で繋がりたいという瀧本さん夫婦の想いが込められており、結び目を象徴するリボンが、サロンロゴにも使用されています。
開業のきっかけとなった”子供の存在”
瀧本恭平さんとあいかさんは、同じサロンの同僚でした。恭平さんはスタイリストとして、あいかさんはカラーリストとして活躍していくうちに惹かれ合い、2015 年に結婚。2人を開業へと後押ししたのは2017 年に生まれた子供の存在でした。2 人は仕事と子育てを両立しやすいように、あいかさんの実家のある神奈川県茅ケ崎市での出店を決意します。
2人の”強み”を同じ子育て世代に提供したい!
新店のターゲットは、自分達と同じ子育て世代と設定。住宅街という場所柄、アットホームな雰囲気を醸し出しつつ、そこで提供するデザインや技術は価値の高いものを、そしてそれに見合った価格展開をと考え、メニューにはあいかさんの専門分野であるデザインカラーやパーソナルカラー診断、新たにヘッドスパを取り入れることにしました。
出店に当たっては、開業支援を行う建築デザイン会社に相談。そこでのやり取りを通してサロンの青写真を描くと共に、物件探しに関しては恭平さん自ら自転車に乗って街を見て回ったそうです。
「ただ物件が出るのを待つというのがイヤだったので、賑やかな駅前から距離を置いたエリアを回って探しました」(恭平さん)
開業から地域定着までの道のり
不動産屋の力も借りつつ、2か月間後に出てきたのが現在の物件。30年以上経った物件ではありましたが、前のブティックが閉店した後、ずっとスケルトン状態で空室になっていたこともあり、手頃な価格で契約できたそうです。
オープンに当たっては、集客サイトへの掲載、ポスティングと新聞の折り込み広告を行いました。それと同時に恭平さんは地元に溶け込むため、商工会に加入し、業種を問わず近隣のおしゃれな店に足を運んで、ショップカードを置いてもらうようにお願いに回ったそうです。
どうすれば伝わる?サロンの魅力
また恭平さんは、近隣のママ世代にも話を聞きました。ママたちとの会話の中で、「キッズルームがほしい」という声が上がり、「キッズルームがあるのに伝わってない」と気づいた2人は、サロンの前に黒板を置き、キッズルームやカラーリストをアピール。
当初は誰も来ない日が続いたりして不安も多かったそうですが、以前担当したお客様が都内から足を運んでくれたり、地元への地道な告知活動が成果を結び、紹介も少しずつ増えてきました。
夫婦経営の安心感が新規客にとって”居心地の良さ”に
今はカットやカラー、パーマ後のお客様のバックショットをホームページに掲載したり、ヘッドスパを取り入れたメニュー展開などに力を入れています。
「初めていらっしゃった方に、夫婦でやっているので安心する、と言われたことがあります。アットホームな雰囲気を大事にしつつ、デザインや技術への信頼を高めるための努力をしていきたいです」(恭平さん)
Profile
瀧本恭平
1982年福岡県生まれ。大村美容ファッション専門学校卒業。東京都内の有名店に13年勤務した後、1店舗を経て、2015年に結婚した妻のあいかさんと共に、2019年4月9日に『solmu』をオープン。
瀧本あいか
1986年神奈川県生まれ。山野美容専門学校卒業後、ヘアカラーリストとして勤めた店で恭平さんと出会い、12年間勤務。2017年、男児出産。『solmu』ではカラーリスト兼ヘッドスパニストとして働く。
お2人の詳しいエピソードや、開業資金、出店までの期間などの詳細は、3月18日発売の『経営とサイエンス』特別編集MOOK『美容室店舗デザインBOOK』で読むことができます! ぜひ参考にしてくださいね。
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